986: 名無しさん@おーぷん 21/09/10(金)00:00:51 ID:sCL8
特にオチもない話なんだが。


高校生の頃、母親の地元の山奥に連れて行かれたことがある。

1時間に1本ぐらいのローカル線の駅から、バスで1時間近く山道を行ったところにある、とんでもないど田舎の集落。
『こづかいやるから荷物持ちでついてこい』
と言われて、夏休みで暇だったし、ちょっとした旅行のつもりだった。

到着間際になって、母から
「なんか色々言ってくる人いるかもしれないけど、お母さんの用事が済むまで我慢して流してて」
と言われた。
何事かと思っていたら、
バスを降りた途端5~6人に出迎えられ、歓迎という感じででかい屋敷に連れて行かれた。
その時初めて知ったのだが、母はそこの本家の一人娘だったらしい。




そして襖を取っ払った何十畳かありそうな座敷に連れて行かれて、昼間っから宴会が始まった。
ここまで何が起きてるのかわからない。
母に助けを求めようにも、なぜか席は別にされてる。
当時は上座とかよく知らなかったけど、自分がいい席に座らされているのはなんとなくわかった。
知らない爺さんや婆さんが入れ替わり立ち替わりやってきて
「そうか、〇〇の孫か」
「こんな立派な息子がいたなんて」
とか言っていた。
方言がきつくて良く聞き取れなかったけど、どうやら『俺を本家の跡取りとして扱っている』というのはわかった。
これで妖しい美少女でも出てくれば俺もころっといったかもしれないが、残念ながら若くても四十代?ぐらいしかいなかった。
宴会の料理も、なんかしょっぱくて茶色くて、あんまりおいしくなかったし。

しきりにビールを勧められるのを断って、『トイレに行く』と言って逃げ出したら、別の部屋に母と白髪の爺さんがいた。
夏なのにエアコンがなくて、全部開け放してたので。
母が書類の入ってるみたいなでかい封筒を爺さんに渡してるところだった。
爺さんは廊下に立ってる俺を見て
「こんな息子がいるなら、ここまでしなくてもいいだろう」
と母に言ったが、母は
「この子はこの土地とは関係ないので」
と、きつめの口調で返していた。

そして、用は済んだとばかりに、宴会してるところに挨拶もしないで、荷物を持ってさっさと屋敷を出た。
俺のバッグもいつの間にか玄関にあった。
母が帰ろうとしてるのに気がついて、引き止めようとしたり『車で駅まで送る』とか言う人もいたが、母は全部断って丁度来たバスに乗った。
たぶん、バスの時間は調べてあったんだろう。

バスの中で母が
「あの人たち、どう思った?」
と聞くから、正直に
「なんか気持ち悪かった」
と答えたら、母はうなずいて
「たぶんないと思うけど、これから先、この土地の人が現れたら、関わっちゃ駄目よ」
と言った。
理由は詳しく教えてくれなかったらけど、なんか関わりたくない人たちだと思ったので、俺も素直に
(そうしよう)
と思った。
その後、その地方の観光地に移動して、美味いものたらふく食って温泉に入って綺麗なホテルで一泊して帰ってきた。


それからもう20年ぐらいたつが、母とこの話をした事はないし、その土地の人とも会った事はない。
でもなんとなく抵抗があって、その地方には近づかないでいる。



怖い村の話
怖い村の話