632: 名無しさん@おーぷん 21/08/16(月)13:54:47 ID:GL.qh.L1
父方の家がいわゆる高学歴一家だと聞かされていたが、ぜんぶ嘘だったとわかった時。


父の口癖は
「私は東大、弟は京大を出て海外で仕事をし、弟の家の子(私の従兄弟)は東大」
「自分は良い教育を受けた。
当時としては最高レベルの教育で、そのおかげで今がある」

だった。

その割に父は一人娘である私には一切金を出そうとせず。
小学校に行かせることすら渋って、母親と殴り合いになっていた。
「女の子なのだから、いい家に嫁げるように頑張りなさい」
と言われていたが、母は猛反対。

結果、母親は絵に書いたような教育ママと化し、私立小学校をあちこち受けさせた。
父親も母親の気迫に押されて渋々願書などには協力していたけれど、第1志望には受からず、結局公立に行くことになった。
「ならば中学で挽回させてやる!」
と、すぐさま塾に入れられ、毎日夜11時までひたすら勉強させられた。
出来なければ頭をはたかれ、学校のテストでひとつでもバツがつくと、
「先生にマルをつけてもらってらっしゃい!
満点になるまで家に入れません!」

と追い出された。
先生はまともで、マルはつけずに家まで送ってくれた。

母親が
「なんではらいが足りないからってバツなんですか!
×君の家に電話したらあの子は満点だって!!
納得いきません!!
この間はうちの子が満点だったのに!!」

と怒鳴り散らして、父親がなだめすかす…みたいなことはしょっちゅうあった。
お習字でも、私が銀賞だったことに納得がいかず、金賞だった子のお母さんに
「どの先生にいくら払って書かせたの!?
うちの子は何百枚も書かせたのに!」

とキレていた。




父親はというと、
「お前(母親)の血が悪いんじゃないか?
私の家の人間はもっと器用だし、頭も良い」

と更にdisる。
実際、父は手先も器用だったし会社の社長だったしかなりいい家に住まわせてくれていたので、母も何も言えなかったようだった。
母には
「お父さんに勝ちなさい!」
と毎回言われたが、小学校高学年になる時にはやる気が無くなって家出をしょっちゅうしていた。

そんなある時、ピンポーンとチャイムが鳴った。
私が出ると、
父そっくりの男の人が立っていた。
母が
「どちら様?」
と聞くと
「〇〇(父親)の弟です。
ちょっとそこまで寄ったんでね」

と言われた。
『京大に行った』という父方の叔父だった。

アポ無しとはいえ、初めて会う親戚(結婚当初から叔父さんは海外に行ってた為会えなかった)ということで、母が丁寧にもてなした。
そこで学歴の話が出て、
「うちの娘をなんとか東大に行かせたい。
東大出の主人にコケにされ続けて悔しい。
あなたも京大出ということで、コツを教えて下さいませんか」

と母が話すと、
叔父は爆笑し始めた。

「え!?僕が京大!?
『兄弟』の聞き間違いではなくて!?
僕は大学は出てますが京大ではないですよwww
まあ確かに研究のため海外に行ってはいましたけどwww
兄に至っては最終学歴高卒ですww」

母がポカーンとしていると、叔父さんは更に続けて、
「あいつ、高校は灘だったんですよ。
おふくろがそれはそれは頑張ってねえ。
よくある話、入った途端全く勉強しなくなって、ついていけなくなってね。
それで脱落したんです」
「それでその事を気にしてたんじゃないですかねえ。
妻に見栄を張りたい気持ちはあるにせよ、それにしたって東大出と嘘つくなんて、情けない。
親父もお袋も鬼籍だからって好き放題言いやがって」
「大学なら、卒業生の照会が出来るでしょ?
してみたらどうですか。
居ないはずですよ」

実際、母がすぐさま東大に問い合せたところ、卒業生の中に父の名前は存在しないと数時間後に回答があった。

仕事から帰ってきた父を、母が叔父の前で問い詰めると、ようやく高卒の事実を認めた。
叔父さんは
「私子ちゃんがお母さんの叱責で色々苦労してると兄さんから手紙で聞いていたが、まさか兄さんがそんな嘘をついていたとは知らなかった。
兄さんの責任は大きい」
「手紙で読んで思ったんだが、私子ちゃんをノイローゼにして殺す気か。
心を傷つけることばかりしてる」

とガチモードのお説教を父に食らわせた。
母はそれを聞いて泣き出すし、父は項垂れていた。

それから叔父が色々と両親に指導してくれたようで、
母は教育ママではなくなり、遊びにも連れて行ってくれるようになった。
父は私の成績を聞く度に
m9(^Д^)
↑こんな顔だったのが、
(´・ω・`)
↑こんな顔になって
「そうか、よくやった。
間違えたところを一緒に見てみよう」

と勉強を教えてくれるようになった。

その年、私は初めて誕生日パーティーを開いてもらい、クリスマスには家族で初めてプレゼント交換もした。
父は落ちこぼれたとはいえ灘高校卒なだけあって、小学生に対してはそれなりに教え方も上手くて、母がガツガツしていた時より成績も良くなった。
家庭の空気もずっと良くなった。

会社では『仕事を楽しめるかは上司次第』とはよく言うけれど、
(勉強も親次第だな…)
と幼いながらに体感した。



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