396: 名無しさん@おーぷん 21/05/19(水)12:15:29 ID:YC.en.L1
10年ほど前、当時まだ大学生だった弟が癌で余命宣告されていた。
当時、私は就職して3年目で、恋人とは付き合い初めて2年ぐらい。

彼から『そろそろちゃんと結婚しよう』って言われた頃に、タイミング悪く弟の癌が発覚したばかりだったものだから、正直に弟のことを話して
「しばらく待ってほしい」
と申し出た。
弟には高校時代から付き合っていた可愛い彼女がいて、でも彼女との未来が考えられない状況だったから、そんな時に私ひとりが婚約だの結婚だのって、そんな気持ちにはなれなかった。
その辺りの気持ちもちゃんと話して、『わかった』って言ってくれたから、理解してくれてるものだと思ってた。




デートの約束してても弟が入院したと連絡が入るとキャンセルしたり、旅行に誘われても『今は無理だ』と断ったりしていた。
母は弟の前ではしっかりしてたけど、家に帰るとかなり憔悴してたから、
(家のことは私が頑張らなきゃ)
って思ってたし、そうなるとどうしても彼との時間がどんどん減っていった。

そしてある日、彼の不満が爆発した。

彼の誕生日、待ち合わせの場所に向かう途中で『弟が倒れた』と連絡が入ってドタキャンしたんだ。
その頃はもう、『次に倒れたら危ない』って言われてたから、いてもたってもいられなかった。
なんとか持ち直して、誕生日の翌々日に彼に謝ったんだよ。
そしたら言われた言葉、今でも忘れられない。

「弟、弟って、気持ち悪いよ」

自分が何を言われてるのか最初分からなかった。
「もしかしてブラコン?
…気持ち悪いなー。俺、無理だわ」

そしてフラれた。

弟はそれから2週間ほど経って亡くなった。
言い方が悪いかも知れないけど、弟が危篤状態になって、そして亡くなって葬儀やなんやかんやで目まぐるしく日々が過ぎて、
彼にフラれたことなんかどーでも良かった。
むしろ、もう彼に気を遣わなくていいことが楽だった。

『フラれた負け惜しみ』と言われるかも知れないけど、もしかしたら彼のこと、別に好きではなかったのかも知れない。



そんなに好きじゃなかった
そんなに好きじゃなかった