952: 名無しさん@おーぷん 20/07/02(木)02:43:33 ID:MsY
大学生の時の話、ずいぶん昔。
彼自身のせいではないんだけど、別れるというか関わらないようにするしかなかった。


大学生同士のごく平凡なカップルだったと思う。
互いに実家に住んでいたので、外でデートして彼の家には行ったことがなかった。
でもある日、
「明日、家族はみんな出かけちゃうから、遊びに来ない?」
という彼からのお誘いがあった。
それまでは清いwお付き合いだったので、
(ついに私にもこの日が!)
とドキドキワクワクで、前の晩には全身洗い清めて、おしゃれして出かけた。

彼は駅まで迎えに来てくれて、一緒に彼の家に向かった。
家に入る時、彼が郵便受けを覗いて来ていた郵便物を取り出し、それらをリビングのテーブルの上にポンと放って
「じゃ、まずお茶でもいれるね」
とキッチンへ行った。

私は持ってきたケーキの箱を開けたりしていたんだけど、見るともなくその郵便物の一番上に乗っていたはがきに目をとめた。
印刷されたもので、一瞬、喪中欠礼はがきかと思ったけど、そうじゃなくて一行目に大きく
とあった。




今でこそ5ちゃんねるで親や義両親と絶縁するというのは見かけるけれど、そういう言葉には当時なじみがなく。
(絶縁て何?誰が誰を?)
とそのはがきを読んでしまった。
正確な文面は覚えていないのだけど、
「○○という人物は××という行ないにより△△組の掟に背いたため絶縁と決定いたしました。
以後、△△組は○○との関わりを一切断つので皆様にも通知します △△組本部」

みたいなことだった。

953: 名無しさん@おーぷん 20/07/02(木)02:45:02 ID:MsY
つまり
『反社会勢力の組織の一員である○○が組織の掟を破ったため、追い出して縁を切る。
他の組織の皆さんも、こいつを相手にしないでね』

という内容。
ああいう裏社会はコネでつながっているので、縁を切られたら生きていけないらしい。
改めてさっき “絶縁状 やくざ” でググってみて、
(間違いない)
と確信した。

いやそんなことより、普通だと思っていた彼の家に、なんでこんなものが届く?
彼がコーヒーを持ってきたのでさりげなく
「ごめん、このはがきが目に入っちゃって…なんなのかな」
と訊いてみた。
彼も一瞥して
「ああ、たぶん親父のつきあいだろ」
と軽く流した。
「へえ…お父さんのお仕事って何だっけ」
「いろいろやってるみたいだけどね、まあ自営業」
私はぞっとした。
(こんな “つきあい” があるお父さんは “普通” ではない)
と思った。
その日はおしゃべりだけして、早々に引き上げて、だんだん距離を置くようにして別れた。


あれから何十年もたった。
大学の同期会に出ると、彼は出席したことはないんだけど、噂はたまに耳に入る。
彼はお父さんの会社を継いで、ずいぶん羽振りがいいらしい。
でも彼の友人も、具体的に何をやっている会社かはよく知らないようだ。



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