965: 名無しさん@おーぷん 20/01/30(木)13:16:02 ID:YHE
(多少のフェイクあります。)

五十代も半ばになって、大きな幸運はないけど大きな不運もない平凡な生活で、でもとりあえずは明日の生活には困らず、老後のことも深刻に考えれば不安にもなるが、まぁどうにかなるでしょと思える程度には貯蓄もあって、子どもたち(娘ふたり)も堅実な会社に勤め、恋人時代のような気持ちはなくても、喧嘩しない程度には仲が良いと思っていた。
(このまま平々凡々と老後を迎えていくんだろうな)
と漠然と考えていた。
(それはそれで自分らしい人生だな)
と。

でもどうやら、全く想定していなかった老後をひとりで迎えることになりそうだ。

私になんの相談もなく、夫が勝手に400坪もの古民家付きの土地を購入した。
夫に
「500万で買えた」
とホクホクして告げられた時、目の前が真っ暗になった。

最寄りの駅まで車で一時間もかかるような山の中。
「定年退職したらそこで自給自足の生活をしていく」
んだそうだ。
「夫婦ふたりなら自分たちが食べるぶんだけ作っていけばいいんだし、慣れてきたらネット販売できるようなものを作っていきたい」
んだって。
「だめだったら戻ってきて年金生活すればいい」
って。




ショックで言葉がでない私に、嬉しそうに計画を語った。
古民家と言っても一昨年まで人が住んでた家だから、少し手直しするぐらいで住める。
納屋なんかもあって、農作業の道具も一通り置いてあって、そのまま使っていいようだ。

やっと
「そんな物件いつの間に探したの?」
と聞いたら、
「友達の田舎の親が住んでた家」
だそうだ。
「相続したけど、こっちに二世帯住宅建ててもう田舎に戻る気はないからどうだ?」
って言われたみたい。
なんだ、持て余していた財産をていよく売りつけられたのか。

966: 名無しさん@おーぷん 20/01/30(木)13:16:17 ID:YHE
「土地売買契約書を交わす前に何故一言相談してくれなかった?
何故勝手に決めた?」

一気に不満をぶつけたら、
「おまえは農作業とか嫌がるの分かってたから」
だって。
だから事後報告で乗り切るつもりだったらしい。

「行ってみればいいところだって!やってみれば楽しいって!」
そこから先は何を言ってるのか耳に入ってこなかった。
気が付いたら大人しくなってたから、
「離婚します」
と告げた。
なんにも分かっていない。
これから先まだ何十年もあるのに、伴侶の意見を聞かずに決めるなんて。
そんな人だと思わなかった。

一応娘たちにも離婚の気持ちを伝えたら、
「好きにしていい」
とお墨付きをもらった。

なにが『人生の楽園』だよ。
あんなもんに惑わされて本当に馬鹿。



わかりきった話