324: 名無しさん@おーぷん 19/10/12(土)10:44:57 ID:330
私の母は、私が二十歳を過ぎてすぐに病死しており、一人っ子の私が結婚して家を出てから父は一人暮らしになっていた。
そして私が40になって、父が定年後に再就職した会社を再び退職した時に
「再婚する」
と言いだした。

相手の女性(A子さん)は父と同い年で、一人娘がいて結婚していることも同じ。
母が死んでずいぶん経つし、聞けば
「山歩きの趣味で出会って一緒にいると楽しいんだ」
とかノロケ聞かされて、
(父が幸せならいいか)
と思い了承した。
本音を言うと、
(この年でわざわざ正式に結婚しなくても…)
と思ったけど、その後の仲の良さを見て
(良かったな)
と思ってた。

さすがにこの年になって “新しいお母さん” と言う感覚はなくて、A子さんもそれは同じだったみたいで、互いに下の名前で呼び合ったものの、うちの子のことは “孫” として可愛がってくれた。
実の娘さんの方にも孫がいるそうだが、遠方に嫁いでてあまり会えないらしい。
私自身、その娘さんには再婚時の食事会で会った一回きりで、なんとなくだけど、
(この人とは合わないな…でも遠方にいるからいいか)
と思った




325: 名無しさん@おーぷん 19/10/12(土)10:45:15 ID:330
そして一昨年、再婚してから10年、喜寿を目前にして父は心筋梗塞で急死した。
A子さんは父の為に泣いてくれて、互いに寄り添って葬儀を終えた。

四十九日が終わって納骨も済ませ、相続になった時に問題が発生した。

父とA子さんが再婚する時に、相続については話し合っていたらしく、保険金の受取人は私になってて、それ以外の相続は私とA子さんで折半になる。
ふたりで上手く相談していたようで、再婚時の父の預貯金は一部解約して一括払いの養老保険に切り替えて受取人を私に設定しており、老後資金のみを口座に残していた。
それをA子さんと私で分割して相続した。
A子さんから
「10年程度一緒にいたぐらいで半分寄越せなんて言えない」
と言われ、なんだかこちらが申し訳ない気持ちになったぐらいだった。

ところがここで思わぬ人が現れた。

父の葬儀にも現れなかったA子さんの実娘が突然やってきて
「私のぶんは?」
と言い出した。
「( ̄Д ̄ )んあ?」としか言えない状況。
「相続は妻が50%、残りを子供の数で割るんだから私には25%の権利がある。現金で頂戴」
と言われて、ぽかーんとしてしまった。

いやいや、あんた養子縁組してないし、娘でもなんでもない赤の他人なんですけど。
丁寧に説明しようにも一行で終わる話だし、さすがにムカついたので
「わざわざ遠くから交通費かけてきたのにご苦労さま」
とちょっと意地悪言った。
いや言い終わらないうちにA子さんが実娘の頬を叩き頭を叩き…と両手でビシバシ叩き、山歩きで足腰鍛えてるせいか蹴りまで入れてた。
泣いてた。
喜寿間近の老女が泣きながらボコボコにしてた。

実娘さんは結局恥だけ晒して帰って行ったけど、その後A子さんから実娘との関係について初めて話された。

326: 名無しさん@おーぷん 19/10/12(土)10:45:29 ID:330
「昔別れた旦那がお金にルーズで、借金を返したらまた借金してくるような人」
で、
「旦那の借金の返済の為に働くばかりで、いつも眉間に皺寄せてたせいか娘は自分に懐かなくて、旦那にばかり懐いてしまった。
旦那が事故で死んだ時、借金が何百万もあって、相続放棄したかったけど恩のある人から借りてたので、それも出来ず必死で返済してきた。
だけど借金を返し終えた頃にはもう、娘との溝はどうにもならなくなっていた」

と。
山歩きを始めたのも、
「自然の中を黙々と歩いていたら気持ちが落ち着くから」
だったそうだ。

実娘の奇襲があってから、A子さんの希望で土地を離れたいので
「(実家)を売ってお金に変えたい」
と。
(そんなこと言ってもその年齢でこれからアパート借りるのも無理だろう)
にと心配したけど、
「あてはあるからそうさせて欲しい」
と言われて、実家は売らずに相当分の現金を渡した。
そしてA子さんは父の形見をひとつだけ持って出ていった。

実娘の事さえなければ、今まで通り娘の “優しいおばあちゃん” でいて欲しかったな。

A子さん、今は実娘さんとは縁を切って連絡先も教えず、
「ある場所で住み込みで働きながら山歩きしてる」
と一度だけ手紙がきた。
住所を書いていないので連絡の取りようがない。
でも消印から、
(だいたいあの辺だな~)
と想像してる。

会いたいなぁ。



喧嘩商売(20) (ヤングマガジンコミックス)
それが 煉 獄