682: 名無しさん@おーぷん 2019/02/21(木)20:02:32 ID:dBv.f5.t8
最後以外はほぼすべて伝聞・噂話なので、読みにくかったらすいません。


昔々、まだ田舎の3階建ての百貨店が賑わってた頃。
叔母はその中にあった呉服屋さんで働いていたんだけど、ある年そこで支援学校の卒業生を雇うことになった。
「彼は多少計算が苦手だが、電話対応もできるし、性格もよく健常者とあまりかわらない」
という触れ込みだったらしい。
しかし実際は、電話が鳴っても無視、とってもだんまり。
「資料を棚にしまってください」といったような指示も上手くこなせない。
それだけならまだしも、
女性店員のロッカーを漁る・女性店員の後ろにピッタリと近寄る、などの問題行動も多かった。
当時の店長が「話が違う」と学校側に講義したものの後の祭り。
いくら問題があっても、こういった人は中々クビにできなかったらしい。




しかしこれでは他の人が仕事にならないので、バックヤードをパーテーションで区切って、その中でひたすら紙に正の字を書いてもらっていたそうだ。
最初はチラシやDMの用意など多少は仕事になることをやらせようとしたらしいが、それも出来なかった。
だけれどいつまでもこんな事させ続けるのも問題があるだろうし、彼を怖がって「辞めたい」という人まで出てきてしまっていた。
しかし半年もせず彼の母親が自殺未遂をし、彼もここから離れた場所でお世話になることになったという。

彼の母親は彼が小さい頃に離婚して、女手一つで彼を育てていた。
そして彼も就職して「ようやくこれで肩の荷が下りた」と思っていた矢先、
「(彼)が職場で問題行動を繰り返している」
という話が母親の耳に届いてしまったらしい。
関係者が直接伝えたわけではないけれど、若い女性店員さんは両親や友人に相談していたし、この様子を見ていた他のテナントの従業員さんたちからの話も、まわりまわって彼の母親やその近所にも噂として届いてしまったようだった。
彼は近所では女性につきまとうような事はしていなかったらしく、それまでは近所では「大変なお家」程度だったのが、この話以降遠巻きにされたり母親自体も避けられるようになってしまったという。
それだけならまだしも、直接母親に何かを言う人まで出てきたという話もあった。
「結局いつまでも人様に迷惑をかける、ということに疲れてしまって自殺を…」
というのが叔母の意見。

そして、ここからが私の話。
昔は百貨店として賑わっていた駅前の3階建てビルも、今は寂れたスーパー。
入ってるテナントは制服屋さん・100均・高齢者向けのPC教室と体操教室、それだけ。
私はこの100均で去年までバイトしていた。

そこにある日、変なおじいさんがやってきた。
「店長はいるか」
と言ってきて、答える前に
「妻がそちらのせいで自殺した」
と言い出した。
「息子がここをクビになり、それを気に病んで妻は死んでしまった、慰謝料について話したいから店長をよんでくれ」
ということだった。

途中からパートの女性が相手を変わってくれたので、私は慌てて店長を呼んでおじいさんの元まで連れてくると、店長はおじいさんを上手に奥へ連れて行ってくれた。
私達は全員、上に書いた話を知っていたので
「もしかしてあのこと?でもいまさら?」
とみんなで話していた。
しかし30分もせず裏から店長が戻ってきた。
「おじいさんはもうあの店はないということで納得したが、とりあえずウチはあの人は出禁、さらに今後あのおじさんはスーパー全体で出禁となる可能性が高い」
と言われた(後々実際にそうなった)。

店長に詳しく聞いたが、やはり話の内容からして件の彼の父親らしい。
ただ、あのおじいさんの話自体がかなりあやふやで、
知っていることは先に言っていたことだけ。
彼や彼の母親の今の所在すらわからないらしい。
それなのにどの面下げて「慰謝料がほしい」なんて言ったのだろうか。



噂の男 (PARCO劇場DVD)