721: 名無しさん@おーぷん 2018/11/19(月)19:08:31 ID:2FW
元兄嫁が怖い人だった。

兄と結婚して1年足らずで兄が病死した。
まだ兄嫁は二十代半ばで、子供もなかったので
「早くいい人を見つけてね」
と両親が促しても、
「一度嫁いだ身ですので」
と、盆暮れ正月には何かしら持って挨拶に来ていた。
実家は田舎で宴会時に来られると、誰かが
「まあ飲んでいきなさい」
と引き止めるので、車で来ている元兄嫁を帰すわけにも行かず泊める羽目になる(代行のない地域)。
狭いエリアなので情報が漏れまくりで、うちの親戚の法要に知らせてもないのにしれっと訪れる。
年寄り連中は
「義理堅い人だ」
と褒めていたけど、私や弟にはそうは思えなかった。




それがはっきりしたのが、弟が18歳になったときのこと。
きちっとしたスーツを着て我が家にやってきて、
「(弟)くんのお祝い」
と高そうな腕時計を出してきた。
さすがに「いただくわけには行かないから」と弟本人も両親も固辞した。
だが、元兄嫁が
「いずれ結婚する間柄ですし、結納返しのようなものだと思っていただければ」
と言い出したので、家族全員ものすごく驚いた。

元兄嫁の脳内では、
「(兄)が死んだらその弟と結婚するのが筋だ」
ということになっていた。
兄が死んだときまだ11歳だった弟が18歳になるのをずっと待っていたらしい。
(大昔の農村かよ!)
と突っ込みたかった。
確かにうちはど田舎だし、玄関の施錠も最近までどこもしてなくて、帰宅したら近所のおばちゃんがくつろいでて
「おかえり、お茶飲む?」
と勝手に台所をあさるような場所ではあるけども、そんな話は聞いたこともない。

もちろん両親も
「結婚させるつもりはない」
と言ったけど、元兄嫁は聞く耳を持ってくれなかった。
話の通じなさにキレた弟が
「ババア(元兄嫁は当時三十代)なんて興味ない」
と言っても、飄々と
「まだ子供は産めますから」
と返事するだけ。
元兄嫁には実家がなく(両親他界で、疎遠な弟夫婦に代替わり済み)、
(もう帰るところがないからずっと執着してたのか)
と思ったら気の毒を通り越して恐怖だった。

最終的にはその弟夫婦に連絡をして詳細を告げたら、あちらはもう何年も元兄嫁がうちと親戚付き合いのようなことをしていたと知らなかったらしい。
電話したら車で3時間かけてすっ飛んできてくれた。
兄が存命中から弟夫婦とは色々あったと聞いて、我が家とも結婚式で会ったとき以降疎遠だったが、元兄嫁を回収に来た弟夫婦と話してみたら、なんていうか普通の人たちだった。

元兄嫁の弟さんが
「もうそういう時代じゃないから」
と説得しても聞いてくれなかったけど、
奥さんがチョークスリーパーみたいにがっちり捕まえて家から引きずり出してくれた。
弟さんが車のドアを閉めるときに元兄嫁を殴ったみたいで、断末魔みたいな悲鳴が聞こえてひぇってなった。

半年位して
「(元兄嫁)を結婚させて遠方にやった」
と弟さんから連絡が来た。
「結婚させた」とか「遠方にやった」とか、こちらを安心させるために言った言葉なんだろうけど、いったいどんな一族なんだとまたちょっと怖くなった。



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