419: 名無しさん@おーぷん 2018/10/08(月)16:54:47 ID:BLj
既女板でラ・フランス話が盛り上がっていたのでこっそり便乗。

大学生の時に、違う学部の男子学生とつき合い始めた。
彼は「おしゃれ」な人で、ファッションとか食べ物とか、ヨーロッパ系のものが好きだった。
互いにおつき合いは初めてで、おっかなびっくり初々しくやっていた。
が、ある日、彼が
「女の子の手料理って食べてみたい」
と言い、私も “部屋に招いて手料理を振る舞う” というのをやってみたかったので、週末のお昼に一人暮らしのアパートに来てもらうことになった。

当日、彼は
「おみやげ」
と言って、ラ・フランスを1個、持ってきた。
私は、というか実家では洋ナシを食べる習慣がなかったので、
(初洋ナシだあ)
とはしゃいだ。

「へえー!初めて食べるよ!普通に皮むいて食べるの?」
「それでもいいけどね、チーズと合わせてオードブルにするとうまいんだ。
特にカマンベール・チーズ。
作ってあげる」

というので、キッチンを明け渡そうとすると
「チーズどこ?」
「え、カマンベール・チーズはないよ。朝ご飯用に、普通の(プロセス・)チーズならあるけど」
「えっ!!!」
彼は目の玉をひん剥いて
「カマンベール・チーズ買い置きしないの!?信じられない!!!」




カマンベール・チーズは好きだけど、お高いし、それこそパーティやお呼ばれのオードブルかデザートで食べるくらいで、自分で買ったことはない。
しかしどうしても必要ならばスーパーが近所にあるし、私はどのブランドがいいかもわからないので、
「一緒に買いに行こう」
と頼んでみた。
彼はぶつぶつ言っていたが二人でスーパーに行って、お高いブランドのを買った(私が払った)。
そしてラ・フランスとカマンベール・チーズを薄く切って並べたオードブルを作ってくれた。

420: 419 2018/10/08(月)16:55:57 ID:BLj
今考えると、そのラ・フランスは「追熟」してなかったようで、硬くておいしくなかった。
もちろん口には出さなかったけれど、彼は私が「おいしくない」と思っているのが顔に出ているのに気付いたようで、
「これはこういう料理なんだ。フランスでは普通だ」
と言い張り、日常にラ・フランスとカマンベール・チーズを備えておかない生活がどれだけ
「精神的に貧しい」
か、延々と私に説いて聞かせた。
私はおとなしく
「そうだねえ」
と答えておいた。

これだけじゃ冷めなかったんだけど、追い打ちがかかった。
オードブルが上記のもので、あとは私が作った筑前煮とお味噌汁とごはん、生干し(ソフトタイプともいう)の身欠きニシン(以下、生干しニシン)の焼き魚だった。
彼は生干しニシンを初めて食べたらしく、
「えっ、何これ!すごいうまい!」
と、そればっかり食べた。
私が
「お代わりする?すぐ焼けるから」
と言うと
「うん!」
と皿を差し出した。

私は生干しニシンが大好きで、お取り寄せして常備している。
彼はお代わりをがっつきながら、
「残りまだある?
全部焼いて持ってきて」
その日は新しいのが着いたばかりで、1箱12片入り(1片が半身で、6匹分)あって、一人2片ずつ出したのだが、
彼は残りの8片を全部食い尽くした。

満腹した彼が迫ってきたんだけど、吐く息があまりにニシン臭くて、そこで冷めた。
適当なことを言って帰ってもらった。

後日
「勉強が忙しくて」
とか適当なことを言って別れた。
同じ大学なので時々顔を合わせたが、そのたびに
「ニシン買った?」
と聞いてくるので、
「買ってないよ(嘘)」
と答えると
「なんだ」
と去っていった。
つくづく別れてよかったと思った。

追熟したラ・フランスのおいしさは、後に自分で買ってみて理解した。



洋梨形の男 (奇想コレクション)
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