14: 名無しさん@おーぷん 2018/06/22(金)14:45:05 ID:8V8
昔働いていたバイト先での話。

大学入学してすぐはじめたバイトで、ありがたいことにいい人ばかりで楽しく働いていた。
しかし、一人の新人が入ってから変わってしまった。
なんでも 彼の大学入学と同時に親が離婚して母子家庭になった らしく、
「学費は父親が払ってるけれど、自分も家計を支えるために頑張ります」
と意気込みだけはすごかった。

しかしそのやる気アピールの割に覚えが悪く、片付けができない・ホウレンソウができない・平気で嘘をつく…と散々。
注意された時も真っ先に出るのが
「でも」「だって」
で、顔だけは申し訳なさそうにうつむくけれど絶対謝らなかった。

あまりにも酷いから1ヶ月足らずで「辞めるように」とも言われていたけれど、
「母子家庭だから、大変だから」
で押し切っていた。
これは後から知ったことだけれど、暗に
「ネットに差別する店だと書くぞ」
と脅すようなことも言っていたそうだ。

そのうちスタッフはみんな彼を無視したり、ミスをした時は注意というよりはキツく叱責するようになってしまった。
特に店内のミスの全ては彼のせいだと思うようになってしまっていた。
実際8割以上は彼のミスなのだけれど、残りの2割の誰でもやるようなうっかりミスも彼がやったと誰もが思うようになって、キツくあたるようになってしまった。




しかし3ヶ月位たったある日、彼の母親が店にやってきた。
私はその日はシフトに入っていなかったので伝聞になってしまうけれど、簡単に言うと
「うちの子が不当な扱いを受けている、母子家庭差別だ」
という感じだったらしい。
だけれど店長とオーナーから1つ1つ具体例を出されて
「ご家庭でも心当たりは?」
と言われると言葉に詰まり、
「失礼ですが実際に家計にはいくら入れていますか?」
と聞かれたら、か細い声で
「もらっていない」「小遣いも渡してる」
だって。
最後に私達がつくった手書きのメモ(マニュアル的なやり方に、スタッフそれぞれの経験則からの対応や、彼が実際にしたのミスと照らし合わせて特に覚えにくそうなところに赤で注意書きなどを書いたもの)を見せたらすすり泣く声が聞こえてきたそうだ。
結局、来た時の態度とは一転して
「息子とよく話をします」「申し訳ありませんでした」
と何度も頭を下げて帰っていったらしい。

でも母親がきた次の日の夕方、本人が普通にやってきた。

その日は私もいたけれど本当にびっくりした。
前日の話で持ちきりだったし、なにより彼はその日彼はシフト入ってないのに。
これには流石に店長も呆れ果てて、すぐに奥に連れて行ってとうとう「クビ」と伝えたそうだ。
まあそれでもお得意の
「母子家庭なんです」
で首を絶対に縦には振らなかったので、母親の職場に直接連絡して迎えに来てもらった。
その間に「ネット上に有る事無い事書き込んだときにどうするか」「今までのミスで起きた損害は今なら請求しないが、これ以上ゴネるようなら請求」などなどを話した。
書くもの書いて母親の迎えを待つ間、
彼はバックヤードで俯いて唇を噛んで、両膝の上に強く握った拳を置いて震えていたらしい。
私はホールだったので直接は見てないけれど、そんな被害者面できることが本当に気持ち悪いと思った。

ココまででも充分「親子でどんな神経してるんだろう」と思うのだけれど、
一番神経わからんのはやめさせられた後、普通に店にお客さんとしてやってきてたこと。

今までだってやめた子が来てくれるのはあったし、それは大歓迎。
私も今でも機会があれば行っている。
でもこんな理由でクビになって3日もたたずやってくるのもそうだし、注文も一番安いセットメニューのパンだけ頼もうとしたときいた時は怖かった。
確かに大学生にはちょっと高めの店だけれど、それでもランチなら月イチの贅沢程度の値段だし、なによりお小遣いも貰ってるのに。
「パン単品では提供はしていない」と説明したら、その日一番安いサラダだけ食べて帰ったらしい。
そして次の週もやってきて、まったく同じことを繰り返したそうだ。
それとなく他の商品も頼め、と言ったけれど
「お気遣いなく」
と言われたって。

そのたった2回で異例の出禁となったけれど、
それでも時間帯や曜日は違えど、だいたい週一ペースで店の前にやってきていた。
店長は母親にも伝えたそうだけれど、母親も働きながら大学生の男性を完全に制御できるはずもなく、駐車場から店を眺めるという日が週に1度はあった。
私も1回だけ見かけたけれど、可哀想な自分に酔ってるような顔で気味悪かったよ。

でもそれも交番に相談して見回りをしてもらうようになったらなくなった。
お巡りさんの効果か、新しい仕事を見つけたのか、お小遣いが支給されなくなったのか、それとも単に興味をなくしてくれたのか。

何にせよ、全部自分の行動が招いた結果なのに、世界一自分が可哀想と思って生きていける神経がわからん。



くるくるぱぁフォーマンス