435: 名無しさん@おーぷん 2017/08/02(水)09:43:33 ID:kjd
就職が決まったら、どこから話を聞いたのか父から祝電が来た。

「私の天使。私の涙を見ておくれ」


私の両親はずっと家庭内別居状態で、父が海外転勤になるタイミングで離婚してる。
離婚当時1歳になったばかりだったので父の顔は覚えてない。
母は父に対して思うところがあるらしく、父の写真も何もなかった。
節目節目に父の赴任国からプレゼントが送られてきてて手紙も同封されてたけど、母がチェックしてから渡されていたので、余計なものは捨てられてたのかもしれない。

高校に上がるときに父方の祖母が亡くなり、母同伴で葬式にいって祖父に会った。
少しだけ父の話を聞いたら、父はキリスト教徒で洗礼名が「ミカエル」というらしい。
母はキリスト教を毛嫌いしてるので、もしかしたらそのことが離婚原因だったのかなって思い至った。

成人したときに父が「お祝いをしたい」と母に交渉したらしく、離婚後してから初めて父に会うことになった。
海外を飛び回ってるエリートってことで妄想膨らましてたら、実際に来たのは普通のおじさんだった。
小さい頃からずっと「ミカエル」って名前から、少女マンガに出てくるような美男子を想像していたけど、
(まあ私の顔を見たら想像がつくよな~)
って感じのおじさんw
気のいい人で、私の話や進路を涙ぐみながら聞いてくれて、
「困ったらいつでも連絡するように」
と名刺を置いていってくれた。




母に
「悪い人じゃないんだね」
って言ったら、
「あんたも大人だからそろそろ話すけど」
と前置きされて、
「(父)には世界各地に愛人や子供がたくさんいる」
ってとんでもない話を打ち明けられた。
敬虔なプロテスタントぶりながら、各地でそういうことばかりしていたらしい。
「(私)が生まれてすぐに南半球の子供の母親から援助要求がきて、問い詰めたら発覚した」
とか。

父は
「博愛精神だ」
と言い張って、世界中の我が子たちにへだたりなく支援しているそうで、おかげで結婚生活は常に逼迫していて、私が生まれる前に夫婦関係は冷め切ってたらしい。
しかも父方祖父母も父のしていることを知っていて、それどころか
「妻はあんた一人なんだからしっかりしろ」
と、かえって母を叱りつけたので、母は
「母子家庭のほうがマシ」
と離婚を決意したらしい。

(何も知らないで、脳内「ミカエル」のほうがよかったのかな)
とか、
(父に万が一のことがあったら相続とかどうなるんだ?)
とそわそわしてる。

何が天使じゃクソジジイ、全部の子供に月10ドルの援助って決めてて私の養育費も千円だったって聞いて腹がよじれるほど笑ってから電報捨てて、留学費用まで出してくれた母への感謝を深めたわ。
直接私の携帯に電話しようとして着信拒否されたからって、変な祝電よこすな。



笑う大天使(ミカエル) (第1巻) (白泉社文庫)