205: 名無しさん@おーぷん 2017/02/14(火)13:31:56 ID:vCm
名前にはフェイクを入れてある。

会社に、髪が薄いことを連想させるような名字の人がいる。
仮に薄井さんだとするが、薄井さん本人は髪もまつ毛もふっさふさ(体毛は薄い)。
さらに同じフロアに薄井さんをいじる四十代後半のおっさんがいる。
このおっさんは対照的に毛が多そうな名字をしていて、仮に増毛さんとする。
私が初めて会った時点で、薄井さんと同じくらいの髪の量だったかな。

増毛さんは
「名は体を現すって言うし、そのうちハゲてもおかしくないな!」
と何度も何度も同じようなことを言って薄井さんをいじっていた。
薄井さんも増毛さんと同じような年齢だけど、ずっと落ち着いてて、
「そうなったら営業先にも覚えてもらいやすそうですね」
とかさらっと流してた。
かえって周りが不快になって
「そういう子供じみたことはやめなさい」
と上司にまで指導を入れられてたけど、飲み会の席では相変わらずだった。




ところがあるときを境に、増毛さんの髪の毛がどんどん抜けていった。

1ヶ月出向で不在だった同僚が帰社後に、
(増毛さんどうしたわけ?)
と心配するレベル。
数ヶ月で見る影もなく髪は減り、同時に腹も出て、においもきつくなった。

206: 名無しさん@おーぷん 2017/02/14(火)13:32:03 ID:vCm
このとき薄井さんは増毛さんを含むチームのリーダーをやっていたので、あれだけ彼にいじられたのに「心配だから」と飲みに誘って話を聞いてやったそうだ。
これはあとから聞いたのだけど、増毛さんはどうも奥さんに逃げられたそうで、ストレスや食生活やらで一気に小汚くなってしまったらしい。
増毛さんは生活能力がまったくなかったので、薄井さんはうまくて安い小料理屋を紹介したり家事代行サービスを紹介してやったりした(当然金は出してなくて、「こういうのもあるよ」とスマホで見せたとか)。

そのおかげか増毛さんの身なりはそれなりに戻っていき、会社のツテで紹介された弁護士が離婚調停を進め、離婚も成立して増毛さんの表情も明るくなっていった。

が、それと同時に増毛さんの薄井さんへの執着があからさまになってきた。

会議や飲み会では隣をキープ、昼食には絶対ついていくという「女子か!」という行動に周囲はドン引きし、さすがの薄井さんもやんわり拒否するようになった。
しかしある会議の席で急に増毛さんが立ち上がり、薄井さんの手をとって
「結婚してください!僕に髪の毛をください!」
と叫んで、大混乱になった。
「養子にしてくれたら僕の髪は戻るんだぁ」
という意味不明の叫びが聞こえて怖かった。

結局、増毛さんには統合失調症の診断がついて、休業からの退職。
薄井さんも奥さんにあらぬ疑いをかけられたりして、しばらくげっそりしてて気の毒だった。
どこからおかしくなったのかはわからないけど、増毛さんが奥さんと別居してから半年ちょっと、あっという間の出来事で、今思い出してもドラマか映画だったような気がするくらい。



やる夫 そんなこと言われても クッションカバー ブラウン